暑くなってくると、キッチンで火を使うのが辛くなりますよね。夏の暑いイタリアでも同じ、特にお昼時に火を使うのは暑くてかないません。そんな時によく作られる定番メニューが、夏野菜をたっぷり使ったパンのサラダ「パンツァネッラ」。もとはトスカーナ地方の田舎料理で、中世から作られていた記録が残っている伝統料理です。日が経って固くなったパンを再利用するレシピとして、家庭でもよく作られています。
今のようにいつでも焼きたてのパンが買える訳ではない時代の生活の知恵から生まれたこのレシピは、現代の生活にも利点がいっぱいです。火を使わずに簡単にできて、トマトとお酢の酸味、そしてバジルの香りが暑い日でも食欲をそそる爽やかな美味しさ。しかも一皿で主食と野菜がバランス良く摂れ、体力が必要な夏にぴったりです。イタリアの抜けるような夏空によく似合う一品、ぜひ試してみてください。
トマト1つ、きゅうり1本、玉ねぎ1/2個、バジル/7~8枚、パン(バゲットなどハードタイプのもの※)、酢 大さじ2、オリーブオイル 適量、塩・胡椒 適量
※オリジナルレシピではトスカーナの塩なしハードパンを使います。塩なしパンは中世、海辺のピサとの戦いで塩止めに合うものの、塩なしパンを作って応戦し勝利したという謂れをもつ、フィレンツェ伝統のパンで、他の地方では手に入らないため、同じようなハードパンを使います。食パンなど柔らかいものは向かないので、バゲットや田舎パンなどのハードパンを使ってくださいね。
フィレンツェ在住のフォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、2009年渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつイタリアののびやかな景色をテーマに写真作品も制作中。