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Media Spice!
  ■音楽の贈り物

       第9回
 愛あふれる気持ちになれる小野リサの「空の天使」。
 爽やかさとサウダーヂ(郷愁)をともに感じさせる歌声が心地よいヴァレリア・オリヴェイラさん。最新アルバム『カント・リーヴリ』にはジャヴァン、エドゥ・ロボ、シコ・ブアルキなど、MPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ/ブラジルのポピュラー音楽)を代表するアーティストの作品が並ぶ。その多くは以前からヴァレリアさんが歌い、演奏してきた曲だ。軽やかなスピード感のある「バラ・コン・バラ」もそのひとつで、この5月に東京で行なわれたライブでも、技巧的な曲なのに余裕を感じさせる歌とギターが、長くレパートリーとしていることをうかがわせた。
「作者のジョアン・ボスコ(作曲)とアルヂール・ブランキ(作詞)はとりわけ好きなアーティスト。地元で二人にオマージュを捧げるライブをやったこともあります」
 ヴァレリアさんはブラジル北東部にあり、「とても暑く、いつも風が吹いていて、ビーチが広がっている。人口は65万人くらいですが、静かで、生きるのに心地よい街」というナタウに生まれ育っている。
「北東部の音楽はリズムとメロディが豊かなので、ブラジルではリオやサンパウロの音楽と同じくらい重要と考えられています。とくにリズムに関しては非常に豊かだと言っておきたいですね」
 その多彩なリズムを楽しめるのもアルバムの魅力だ。
「バイーアのリズムにサンバ・ヘギというのがあって、サンバ・レゲエのことなのですが、<トゥド・キ・ヴォセ・ポヂア・セール>ではそのリズムを使いました。<アザ・ブランカ>はゆっくりと始まり、最終的にはバイアォンというアップテンポのリズムに変わります」
 ところで、ヴァレリアさんは大学で土木工学を専攻していた。進む道を迷ったこともあったが、「音楽に対する愛のほうが勝ってしまった」そうだ。ギターは12〜13歳のころから弾いている。
「兄やいとこが弾いているのを見て、興味がわくようになりました。プロになったのは私だけですが、私が生まれる前に亡くなった叔父はナタウの街でセレスタ(セレナーデ/そぞろ歩きながらギターを弾き、歌う古い習慣がある)をよく歌っていたそうです」
 贈り物にしたい1曲として選んだのは、小野リサが歌う「空の天使」だ。
「去年、小野リサさんが私にくださったアルバムに入っていて、すごく好きになりました。愛あふれる気持ちになれるこの曲を、すてきな人が現れることを願っている人、みんなにプレゼントします」
(interpretation by Mana Kuniyasu)
すてきな音楽は誰かに教えたくなるもの。
MPBの魅力を伝えるヴァレリア・オリヴェイラさんが贈り物にしたいほど大好きな音楽を紹介してくれました。
小野リサ『Boas Festas』
「ホワイト・クリスマス」などの有名なクリスマス・ソングや「空の天使」を収録した00年作品。

Valeria Oliveira
1969年4月17日、ブラジル北東部リオ・グランヂ・ド・ノルチ州の州都ナタウに生まれる。97年に初のアルバム『インプレッソインス』をリリース。01年の『ヴァレリア』に続く日本制作による最新作『カント・リーヴリ』にはパンデイロ奏者のマルコス・スザーノほかが参加。

『Canto Livre』

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