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  ■音楽の贈り物

        第8回
 初めてのソロ・アルバムをリリースした畠山美由紀さんが
  贈り物にしたいほど大好きな1曲を紹介してくれました。
  ジャケ写で向かいあっているのは飼い猫のニャーくん。「Port of Notesの作品にも毎回、登場させてて、いつもちっちゃく載せているんですけど、ソロだから大きくてもいいかなと」。Port of NotesやDouble Famousのヴォーカリストとしても活躍している畠山美由紀さんの初めてのソロ・アルバム『Diving into your mind』は、ありのままの自分をどこまで表現できるかに力を注いだ作品だ。収録曲はほとんどが自作だが、「青い夕凪」をはじめとして、歌詞が色彩感を醸す曲が目立つ。
「詩人が書く詩にしても、色がきらめいている感じのものが好きですね」
 昨年9月にシングルとしてリリースされた「輝く月が照らす夜」も、“緑色に潤む風が無口な花を撫でる時に”と歌いだされる。この曲が強いインパクトをもっているのは、そうした詩的な表現と対比させるように、“あなたがもし望むならば兄弟でも友達にでもなるわ”という一節があるからではないだろうか。
「最初のほうがポエティックなので、ひとつ、わりとどぎつい感じのところが欲しいなと思い、入れてみました。歌詞は今回だけでなく、Port of Notesのときも、すごく時間をかけて書きますね」
 一方で、これまでと違い、時間をあまりかけなくなったのが歌のレコーディング。それが情感を増したヴォーカルにつながっている。
「レコーディングはPort of Notesとかと比べて、格段に早いというか、テイクをあまり録っていない。去年、EGO-WRAPPIN'のよっちゃん(中納良恵)とかAnn Sallyちゃんといっしょにライブをやる機会があって、結構、それに影響されたかな(笑)。10代のころは歌うことに夢中だったけど、正直言って、だんだん変わってきちゃったと思うんですよね。彼女たちの歌が原風景のようなものを思いださせてくれました」
 ところで、ジャケ写に登場するだけあり、ニャーくんは畠山さんにとって、とても大きな存在だ。
「私、ニャーくんといっしょのひとり暮らしなんですけど、笑っているんですよね、部屋にいて。朝、起きた瞬間から“なんでこんなにかわいいのかなあ”って。心のメンテナンスになっていますね」
 贈り物にしたい1曲として選んだのは、KEITH JARRETTの「I Loves You Porgy」だ。
「心臓科医として、いまニューオーリンズで仕事をしているAnn Sallyちゃんにプレゼントしたいです。彼女はすごい感動やさんなので、ああいういい音楽を聴くと、忙しくても元気がでると思うので。めちゃめちゃいいですよ。夜聴くと、ほんと、ほぁーっと泣いちゃったりします」
(インタビュアー 浅羽 晃)
夜に聴くと泣いてしまう
キース・ジャレットのソロ・ピアノ。
KEITH JARRETT 『The Melody At Night,With You』
「I Loves You Porgy」をはじめとするスタンダードや
トラディショナルをソロ・ピアノで演奏した99年作品。

畠山美由紀
宮城県気仙沼市出身。1972年8月18日生まれの獅子座、A型。93年、Double Famousに加入。96年、ギターの小島大介とPort of Notesを結成。01年9月、シングル「輝く月が照らす夜」でソロ・デビュー。02年3月、1stアルバム『Diving into your mind』をリリース。

『Diving into your mind』

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