「触発されて自分一人では生まれてこない世界観が描ける。それが15年経っても変わっていないというのは奇跡的にラッキーだと思います」と畠山美由紀さんが言えば、小島大介さんは「いちばん気が合うから」と頷く。ソロでも活躍する二人がPort of Notesとして5年ぶりとなるスタジオ録音作『Luminous
Halo〜燦然と輝く光彩〜』をリリースした。オーガニックで風景が浮かぶような音楽性はデビュー時から変わらず、大地にしっかりと根を張る木のような力強さが加わった。
「フェスとかで不特定多数の人の前で演奏する機会が増えたんですよ。そういったなかでリズムがはっきりしている曲など、骨太な音楽をつくるようになりました」(小島さん)
レゲエの「真夏の眩暈」やゆったりとグルーヴする「心の半分」は典型だ。
「スタンディングに対応したり、お客さんと一体になれると楽しいかなと」(畠山さん)
美しいものや心を動かされることは日常に潜んでいると気づかせてくれる歌詞も素晴らしい。たとえば「おやすみなさい」は、“どこにも行かないよ 同じ夢を見るよ”というストレートな表現だからこそ、胸に染みる。
「91歳になる私のおじいちゃんにも向けてつくりました」(畠山さん)
プロデュースはジェシー・ハリス(ノラ・ジョーンズのグラミー受賞曲〈Don’t Know Why〉の作者)が手がけた。
「パーテーションを立てただけの音がかぶるような状態で録音しても、プレイバックを聴くとすごくまとまっていた。それですべてを委ねることにしたんです」(小島さん)
贈り物にしたい音楽として畠山さんが選んだのはスサンナ・アンド・ザ・マジカル・オーケストラの「Condition of the Heart」だ。
「ささやくように歌うプリンスのカヴァーを、落ち込んで元気のない人に。孤独の哀しみを理解して、手をさしのべてくれる感じです」
小島さんはキングス・オブ・コンビニエンスの「24-25」を選んだ。
「サイモン&ガーファンクルの現代版という感じです。フォーキーなんですけどミニマルなところもあって、コードもいまっぽい。都市っぽいアプローチと田舎な感じのバランスもよくて、雨の日にプライベートな空間で静かに聴きたくなります。遠くにいる好きな人に“聴いてください”と贈るのもいいですね」
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