映画音楽の作曲や他アーティストの音楽プロデュースをしていた大橋好規さんがソロ・プロジェクト、大橋トリオとして活動を始めたのは2年前。メロディアスで、グルーヴする、アコースティックな感触の音楽は噂を呼び、翌年の2ndアルバム『THIS IS MUSIC』が第1回CDショップ大賞の準大賞を受賞するなど、短期間でシーンの最前線へと躍り出た。
「ひとに書いた曲の仮歌を聴いたいろんな人が“いいじゃん、やろうやろう”と言ってくれて。趣味程度でアコギを弾きながらジェームス・テイラーとかイーグルスとか、歌ってはいたんですけど、ほんとですかって感じですよね。評価されるとしたら通のひとかなと思っていて、いまだにちょっと不思議なくらいです」
最新作『I Got Rhythm?』は躍動感あふれる「SING SING」、3連系リズムの構築が凝っている「Emerald」など、これまで以上に動的な曲が多い。デビュー以来、すべての曲に当てはまるのがメロディのよさだ。「君は雨」の、意外な展開が連続しながらも美しさが印象に残るメロディなど、ひらめきに満ちている。
「この曲はわりとすうっと出てきたほうですね。パソコンに向かって、ギターとかピアノを弾きながら、イメージができたらすぐに録音していきます。つくっているとき、“これでいいのかな?”と思うこともあるんですけど、歌詞をはめて初めて、“ああ、間違っていなかった”ってわかるんですよ」
歌詞については信頼している創作仲間に任せる潔さも、自分で書くヴォーカリストが多いいま、注目に値する。
「僕はただ音楽をやりたいだけで、歌うことによって誰かを救いたいとか、何かを訴えたいという考えはまったくありません。一表現者として、純粋な音楽をつくりたいのです」
贈り物にしたい1曲は、エラ・フィッツジェラルドとデューク・エリントンが共演した「So Danco Samba」だ。
「音楽を聴きたい人に贈ります。大好きなアルバムに入っていて、演奏もグルーヴも、どこをとってもすごい。古いライヴ音源なのに、ものすごく音もいいんですよ。完全に音楽的観点で選びました」
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