取材・文/浅羽 晃 写真/高木厚子
30年近く前、のちにテイク6となるグループをクロード・マックナイトさんが始めたとき、メンバーは4人だった。ほどなくして6人となり、何度かメンバーチェンジはあっても人数は変えないまま、現在に至っている。 「6人はオリジナリティが生まれる魔法の人数だったんだ。最初の頃は学校のトイレで練習した。いまだに狭いところで練習するほうが、声のリレーションシップがわかっていいよ」(クロードさん) それぞれがソロを取り、声も歌い方も個性豊かな6人だが、コーラスでは声の響きも含めて完全な調和を見せる。 「デビュー前から6人の声が合わさったときに“1”になることを目指して歌い続けてきた賜だよ。若いヴォーカリストたちにアドバイスするのは、ステージで大切なのはいかに歌うかでなく、いかに聴くかということ。お互いの声を聴くということがいちばん大事なんだ」(デヴィッド・トーマスさん) ゴスペル、R&B、ポップとジャンルを横断する音楽性もテイク6の持ち味。最新アルバム『THE STANDARD』はジャズ寄りだ。「A Tisket A Tasket」ではエラ・フィッツジェラルドが残した録音と仮想共演し、マイルス・デイヴィスの作品「Seven Steps To Heaven」ではジャズ・ヴォーカルの表現を拡大したジョン・ヘンドリックスとアル・ジャロウをゲストに招いている。 「87歳になってもパフォーマー、ソングライターとして影響を与えているジョン・ヘンドリックスはまさに先生。リスペクトしている」(クロードさん) クロードさんが選んだ贈り物にしたい1曲はアース・ウインド&ファイアーの「That’s The Way Of The World」だ。 「毎回、聴くたびに、初めて聴いたときに感じた楽しく幸せな気持ちが甦ってくる。日本のファンの皆さんに贈ります」 デヴィッドさんも迷うことなくスティーヴィー・ワンダーの「Love’s In Need Of Love Today」を選んだ。 「オバマ大統領の誕生によって世界がいい時代に向かう可能性があります。実際にそうなってほしいという期待を込めて、この曲を世界中の人々に捧げたい」