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Media Spice!
  ■音楽の贈り物

 第31回
 絶対にパワーをもらえる エリス&ジャイルの声

 個人かグループかわからないアーティスト名はとかくミステリアスに感じられるもの。しかし、noonという響きはあくまでも穏やかで、外に開かれているイメージがある。
「名前にとらわれないで聴いてほしかったので、耳になじむような音を選んだのです。それと、ヌーンには韓国の言葉で雪の意味があるらしく、あとになって友だちから“雰囲気のあるいい名前をつけたね”って言われました。私、韓国人なんですけど、4世で言葉は知らないんですね」
 もっとも、noonさんの名前はヴォーカルの個性をうまく表現したもののようにも思える。最新アルバム『Smilin'』に収められているJAMES TAYLOR作の「Don't Let Me Be Lonely Tonight」は夜をテーマにした曲だが、noonさんが歌うと青空に浮かぶ雲を見るような、独特の心地よさを醸しだす。
「真似するとか真似ないようにということは考えないで、自分の解釈をしています。無理に引っ張って、グニャッと曲げることはできないし、その曲が好きという気持ちを大切にしています」
  アルバムのオープニングを飾る「Smile」も持ち味である陽だまり感がいっぱい。ナイロン弦のギターをつま弾く小沼ようすけとのデュオはとてもピースフルだ。
「ピアノとのデュオと同じくらい、ギターとのデュオは気持ちいい。始まりの小沼さんのロマンティックなフレーズが印象的で、大きく木が写っているジャケットの写真にぴったりでした。それで1曲目にしたんです」
  オーガニックなものにひかれるnoonさんは音の好みをアレンジャーに伝えるとき、次のようなたとえ話をする。
「(目の前にある木のテーブルを触りながら)こういう感触はいいんですけど、鉄のテーブルの触りごこちはいやなんです、みたいな言い方ばっかりですね(笑)。温もり感のある演奏が好きなんです」
  今回のアルバムは、3作目にして初めてのセルフ・プロデュース作だ。
「最後のジャッジができるというのはありがたい反面、判断が難しい場面もたくさんありました。自分の声と演奏のバランスが4段階あったとして、いちばん美しく聞こえるのはどれかというとき、人と意見が違ったりすると悩みましたね。でも、決めたという事実が自信につながるし、充実感、達成感はこれまで以上に得られました。セルフ・プロデュースは経験すべきことだったと思います」
  贈り物にしたい1曲にはELIS REGINA & JAIR RODRIGUESの「Tristeza」を選んだ。
「JAIR RODRIGUESが“ラララ”と歌いだす最初の“ラ”から絶対にパワーをもらえます。あたたかいし、包み込んでくれるので、エネルギーチャージが必要な人や落ち込んでいる人に贈りたいですね」

text by Akira Asaba
photo by Atsuko Takagi


すてきな音楽は誰かに教えたくなるもの。
温もりのあるセルフ・プロデュース作をリリースしたnoonさんが
贈り物にしたいほど大好きな音楽を紹介してくれました。


ELIS REGINA & JAIR RODRIGUES
『DOIS NA BOSSA No.2』
ELISの名を一躍高めたデュオ・シリーズの2作目。66年作。

Saori Yano

大阪府に生まれる。
オペラ歌手だった母の影響もあり、幼いころから歌うことが生きることの一部。中学生のとき、ジャズに興味をもつようになる。
2003年、『better than anything』でデビュー。

『Smilin'』
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