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アコースティック・ギターの響きが木もれ日のように揺れるなか、あたたかい声が穏やかに語りかけてくる。愛犬を初めて抱いたときの気持ちを歌った「Aqua’s Lullaby」で始まるシャンティさんの『BORN TO SING』はヴォーカルとギター2本のシンプルな音が基調となっている。
「これまでにいろんなタイプの音楽を歌ってきて、メジャーからアルバムを出すと決まったときに考えたのは、まず声を知ってもらいたいということです。ここ数年、ギター2本とライブをやることが多くて、いまの私にはどうやらギター・サウンドが合っていると感じていました。声を聴いてもらうために必要最小限の編成で空間づくりをしたので、ありのままの自分を表現できていると思います」
オリジナル曲とともにスタンダードも収めている。「Fly Me To The Moon」の浮遊感漂う現代的なアレンジが新鮮だ。
「音楽の歴史のなかで、スタンダードってとても大事だと思うんですよね。自分のよさをフルに生かせるようなアレンジにしたいと、いつも考えています」
友人でもある共作者のギタリスト、小沼ようすけがゲスト参加した「Our Song」には、シャンティさん自身が録音した葉山・一色海岸の波音が使われている。
「子どもの頃、一色海岸のはじっこに住んでいたんです。窓から釣りができるくらいのところで、波の音を聴いて育ちました」
別の土地に住む現在も葉山にはよく出かける。いつも持っていくのがバックパッカーと呼ばれる小さなギターだ。
「これだと海にも持っていきやすいじゃないですか。ギターやパーカッションの友だちとちょっと音楽をやったり、歌を練習したり、そういうことが自分のサウンドになっていくんですよね。アイディアも広がるし、ノートとペンと同じですね」
行き帰りの車中では音楽を聴いている。
「これ(映画『ため息つかせて』のオリジナル・サウンドトラック)はR&B系の楽な感じの音楽です。ホイットニー・ヒューストンとかトニ・ブラクストンとか、いろんなヴォーカリストが入っているところがよさなんですよね。ローラ・イジボアは昨年、デビューしたシンガー・ソングライターです。聴いていると元気になります」 |
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葉山で育ったシャンティさんは海に行くとき、いつも小さなギターを持っていくそう。 音楽と過ごす、すてきな休日について話してくれました。 |
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●SHANTIさん、おすすめ
『WAITING TO EXHALE-Original Soundtrack Album』
95年作品『ため息つかせて』のサントラ。
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LAURA IZIBOR 『LET THE TRUTH BE TOLD』
アイルランド出身アーティストのデビュー作。 |
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アクリル絵具で 描きました
背面にペイント。「表現することが好きなんです」とシャンティさん。『Born To Sing』のブックレットのイラストも自分で描いている。
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●撮影協力 ウォーターライン
天王洲の運河に浮かぶ水上ラウンジ。ロケーション抜群のバーとして人気を集め、ウェディングやパーティの会場としても魅力的。
東京都品川区 東品川2丁目1番地先 TEL.03-5479-1666 www.tyharborbrewing.co.jp |
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●プロフィール
1981年、神奈川県に生まれる。CMやアニメなどの歌や作詞、桑田佳祐、サディスティック・ミカ・バンドほかのコーラスなど活動は多彩。今年6月、『Born To Sing』を発表。 |
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『Born To Sing』 |
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text/浅羽 晃 photo/高木あつ子 design/栗山エリ |