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クリエイターのインテリア
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クリエイターのインテリア

クリエイターのインテリア

上から左から
●オーダー・メイドのキッチンにはバスタブが(左)。空間にまっすぐなラインを持ち込むデザインは部屋を広く見せる。●部屋の天井に仕込まれていた電気の配線を残し、ユニークな照明器具をたくさん取り付けることにした。パリ在住の日本人ランプ・アーティストRie Yaguraさんの作品。ソファはスウェーデンのアンティーク品。ベッドにもなる。●キッチン側と寝室を区切る壁一面を書棚と整頓棚に変身、壁の効率的な使い方。●奥の面に貼った鏡は外の景色を映す。巨大なオオカミのオブジェは中に人が入るもの。廃品の毛皮コートで作った。●キッチン・テーブル横の棚には日常使いのグラスなどを飾る。●夫婦の寝室は床まで真っ白で統一。セメントの床にも白いペイントを施した。近代建築は比較的天井が低い。布団式ベッドを使って天井を高く感じさせる工夫を。朝の光のせいで目覚めは早い!

 広告に登場するかわいいキャラクターをはじめ、メディアに向けてオリジナルなデザイン制作を手がけているソフィさんとジャン=クリストフさん。仕事、私生活ともにパートナーである二人は、朝起きて、子どもを学校に送り出したら、日中はアトリエ兼用の自宅で仕事をする。だから家事も仕事も二人で協力しながらやる、という体制。「仕事ではいつも反対意見ばかり。でも最後は必ず賛成し合うの」という仲良しパートナーぶりだ。

 彼らが暮らすのはパリ市の北部に立つ高層マンションの27階。フランスにもあった高度経済成長時代にあたる60年代、70年代を代表するスタイルの高層建築物は、これまでパリの景観を損なうと批判にあってきたが、40年も経つ今となっては、当時のデザインが新鮮にさえ見える。なんといっても、パリ市ではそれ以降、高層建築が禁止されてきたため、パリで高層階に住んでいるのは非常に珍しいことなのだ。

 彼らがここに引っ越してきたのは9年前のこと。ジャン=クリストフは「眺めのよい高層」という条件でアパートを探し、ここを見つけた。バルコンも付いたアパルトマンからは、18区の丘に立つサクレクール寺院が近距離に、セーヌ川の向こうにあるエッフェル塔やアンバリッドの丸く金色に輝く屋根も見える。素晴らしいロケーションだ。

 アパルトマン購入後、しばらくは元のままの間取りで住んでいたが、内装をがらりと変えることにしたのは4年前。デンマーク人の女性建築家との出会いからだった。当時の建築デザインに特徴の、細かく部屋が仕切られたスペースでは、窓の外側にある光が得られない場所が内側にできる。そこで建築家が考え出したのが、寝室と子ども部屋をのぞいて、窓と平行になった壁をすべて壊し、リビング・ダイニング・キッチンをまとめた大空間を作り出すこと。窓と垂直に立つ壁の一方をすべて整理棚に、もう片方の壁をキッチン、さらにはバスタブまでまっすぐ1列に並べてしまうという方法を考えついた。両側にすっきりと1列に並んだラインはバルコンを超えて、ずっとずっと空まで続いていくという錯覚、つまり広大感を視覚に与えてくれる。反対に、窓側から奥に向かって部屋を見れば、奥の壁一面に貼った鏡が外側の景色を映し出し、これまた目に奥行き深い錯覚感を与える。そして壁色はすっきりと、わずかに光る白のペイントで統一。若々しい家族を象徴するような清潔な色だ。

 しかし、キッチンの真横に、カーテンも何もないバスタブを置くという発想はかなり珍しい。本当に使っているの? と質問すると、「夕方に食事の用意をしながら、娘(8歳)がお風呂に入っているのを見てられるから便利なのよ」とソフィ。クリエイティブで自由な発想は、彼ら自身のキャラクターにぴったり合ってしまったようだ。

ソフィ・デイス&ジャン=クリストフ・ソレル ソフィ・デイス&
ジャン=クリストフ・ソレル/
Sophie Deiss &
Jean-Christophe Saurel

TEXT:中平美紀 PHOTOS:Jacques Pepion
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