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松木直也のマイイートロード
***No.62

鍋はほくほくミステリー
木村克己vs椿 直樹 ミステリー鍋 大公開!

今回のゲストはソムリエ・きき酒師の木村克己さんと、(株)よこはまグリーンピース代表の椿直樹さん。
お二人の共通点は「鍋」に並々ならぬこだわりがあることだが、その方法論は全く異なる。
現代の物流を鍋に反映させる木村さんと、地元の食材にとことんこだわる椿さん。
そんな両雄に、とっておきの鍋を2種類ずつご披露いただきました。

写真:Ichi Delarent(木村克己さん) 石井裕之(椿 直樹さん)
株式会社サムライ代表・大矢貴博さんと考える 普段は手軽に。ときにはガッツリ。「ライト&ディープな家飲み楽しみたい!」

■椿直樹は、横浜ゆかりのアノ料理を鍋にした

  料理人として腕を振るっていた椿直樹さんが「横浜野菜推進委員会」を立ち上げたのは2003年。まだ「地産地消」という言葉が今ほど叫ばれていなかった時代に、時間を見つけては横浜の生産者の畑に出向き、地場野菜を使って定期的に料理教室などを開いた。その地道な活動が評価され、09年には農林水産大臣より神奈川県初の「地産地消の仕事人」に認定。現在では、江戸時代から代々野菜を作り続ける地元生産者から、今年就農したばかりの地元生産者まで、幅広い付き合いがある。また、「最近は畑に行く以上に、生産者の方々と一緒に“飲む”機会が多いですね(笑)」と椿さん。その言葉からも、椿さんが築いた信頼関係の深さが伺える。

  さて、そんな椿さんが作る鍋のキーワードは、「ナポリタン」と「小籠包」。この時点ですでにミステリアスだが、驚くのはまだ早い。なんと椿さん、今回の鍋作りは試作なしの“ぶっつけ本番”。どんな結末を迎えるか誰も分からない、まさに“ミステリー鍋”なのだ。

  まず「ナポリタン鍋」。材料は、オランダに“農業留学”した経験を持つ保土ケ谷の若き生産者・山本泰隆さん(山本温室園)が作ったカンパリトマトや、日本最古のトマトケチャップの味を復刻した横浜・清水屋のケチャップ、「横浜ナポリタン」という名のあられ(菓子)などなど。

  作っている最中、椿さんは「大丈夫かな……」と少々不安そうだったが、味見をするなりニヤリと笑い、急に自信満々に。それもそのはず、気になる味はというと、あられの香ばしい風味やウインナーの脂、トマトの酸味などがスープに溶け出し、ケチャップの味を強力バックアップ。また、みんなで“ナポリタンをつつく”っていうのも新鮮で楽しかった。

  続いて、「小籠包鍋」。椿さんが横浜の生産者と開発した「横濱焼小籠包」と、保土ケ谷の直売所「フレスコ」の路地野菜を一緒に煮込んじゃおうってワケだが、ホットプレートを使うところがグッド・アイデア。小籠包の醍醐味である“肉汁ジュワ”の喜びを損なうことなく、なおかつ野菜も蒸されているから味が濃い。さらに、味付けに使用した醤油やゴマ油、ラー油もオール横浜産というから驚く。

  「横浜は、食材だけでなく調味料なども作られていて面白いですよ。最近の僕のコンセプトは、“地恵地楽(ちけいちらく)”。もっともっとカジュアルに地元の恵みを地元で楽しもうと。そういう意味では、鍋ってベースがちゃんとしていれば何をしても大失敗することはないですから、みんなで楽しく地元食材に触れるのにうってつけの料理ですね」

 作ってワクワク。食べてホクホク。椿流ミステリー鍋の結末は、満腹・幸福のハッピーエンドでありました。
横濱焼小籠包


PROFILE
椿 直樹さん
1967年横浜生まれ。横浜野菜の魅力を広く伝えるべく2003年に「横浜野菜推進委員会」設立。10年には「濱の料理人プロジェクト」を発足し、11年に起業。(株)よこはまグリーンピース代表として、地産地消を次世代に繋げるためのさまざまな活動を行う。
www.yokohama-yasai.com/

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■ソムリエ・きき酒師の木村克己の“鍋論”

 木村克己さんの鍋は、素材の持つ、コクを重ねて、その素材同士の“うま味”を計算しつくした鍋なのである。

  日頃、料理に対してワインのマリアージュを提案しているソムリエだからこそだと思えるが、「フカヒレ水晶鍋」は根昆布のグルタミン酸たっぷりのところに、手羽先、ガラスープでイノシン酸を重ね、白まいたけからグアニル酸と、うま味成分のそろい踏みであった。それぞれの具材に全体のうま味がしみ込み、そのハーモニーはかなり濃厚な味わい、つまり、この味こそが“まったり”という表現にぴったり。そして、まったりこそが、ミステリーな味わいの主役なのだ。

  木村さんは「うま味成分たっぷりのスープがしっかり決まれば、あとは具材の持ち味との足し算」だという。フカヒレやまいたけ、きくらげなどはスープの味を邪魔せず、しみ込んだスープが奥深い具材の持ち味を引き出す。うま味が何層にも重なるところが鍋の真骨頂であり、まったりのミステリーさが歯ごたえと共に楽しめる。ガラにもなく難しく解説してしまったが、簡単にいうと素材から出るコクとうま味成分が、複合してさらなるうま味を作り出すということでした。

  ところで、フカヒレ水晶鍋の水晶は何かというと、魔除け効果のあるパワーストーンの水晶の塊で作った鍋で料理したからで、鍋大会は、魔除けも兼ねているという、ミステリー鍋ならではのこだわりでもある。

  「サーモン、イクラみぞれ鍋」がこれまたユニークだ。みぞれは普通ダイコンおろしだけだが、木村さんは、カブ、リンゴを加えた。カブのちょっとした苦味とリンゴの甘味が加わり、これまたミステリーさを醸し出す。昆布出汁にこれらを混ぜ、サーモンとイクラにふじっ子という組み合わせが食欲をそそる。想像するだけでもその美味しさがわかるはず。3種のみぞれが甘くてやや苦くて、すっきりとし、そこに昆布味がしみ込んで、淡白ななかに肉厚サーモンの脂味とふじっ子とイクラの塩味。ぜひ、お試しくださいませ。

  また、木村さんは、鍋のもうひとつの楽しみ、〆にもこだわる。うどんとか雑炊といったありきたりなものではなく、「フカヒレ水晶鍋」では葛きり、「サーモン、イクラみぞれ鍋」では、はるさめと、これ以上合うものはないだろうといった〆だった。なんていったって煮込まれたスープは鍋のハイライトであり、それをどう楽しむかも鍋の重要ポイント。これは、主役の具材を中心に構想を練る。フカヒレの食感と葛きりは同じコラーゲン系で、いつまでもフカヒレを食べているような感じでもあった。また、はるさめは100%ばれいしょでん粉で作られたもので、これが塩系鍋に合わないわけがない。〆こそミステリー鍋の主役なのであります。 横濱焼小籠包


PROFILE
木村克己さん
1953年神戸市出身。「アラン・シャペル」「オテルリッツ・パリ」シェフソムリエカヴィストなどを経て、1992年に日本ソムリエスクールを創設。さらに日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会も創設。食に関するさまざまな分野でのコンサルタントや講演家としても活躍している。

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「ナポリタン鍋」

地元食材を使い、横浜が発祥といわれるナポリタンを鍋にアレンジ。お好みでニンニクを加えても旨い。鍋だから気取らず、みんなでズルズル賑やかに食べるべし。 椿 直樹さん

ナポリタン鍋   ナポリタン鍋 材料
材料(4人前)
トマト3個(大きめの乱切り)、ウインナー3本(輪切り)、パスタ(細めのもの)200g、横浜ナポリタン(あられ)1袋、水1?、清水屋ケチャップ適量、モッツァレラチーズ(シュレッドタイプ)適量、鷹の爪適量(種をぬく)、サラダ油適量
ナポリタン鍋   作り方
@ フライパンに油を入れ、ウインナーを炒める。鍋に水を入れて火にかけ、炒めたウインナーと横浜ナポリタン1/2袋、トマト、鷹の爪を投入。沸騰したらケチャップを加え味を調整。Aパスタを加え、パスタに表記の茹で時間通り煮込む。Bチーズを加えてさらに煮込む。Cお皿に盛り付け、細かく潰した横浜ナポリタンを振りかけて完成。
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ナポリタン鍋 → ナポリタン鍋

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「フカヒレ水晶鍋」

根昆布のグルタミン酸、手羽先、ガラスープのイノシン酸、白まいたけからグアニル酸とうま味成分のそろい踏み。まったりとしたほくほくミステリー鍋 木村克己さん

フカヒレ水晶鍋   フカヒレ水晶鍋 材料
材料(2〜3人前)
ネギ、国内産若鶏手羽先4本、国内産鶏つみれ120g、絹豆腐、マッシュルーム、白まいたけ(雪国まいたけ)、高級フカヒレ(気仙沼産)、根昆布、白醤油、キクラゲ、ショウガ、ミネラル塩(沖縄ぬちまーす)、黄白胡麻油(GreenQ)、はかた一番どりガラスープ(無添加)、葛きり、純米富士酢
フカヒレ水晶鍋   作り方
@ 根昆布水を出汁のベースにガラスープと混ぜ、ネギ、白まいたけ、マッシュルーム、きくらげなどの具材を準備し、手羽先を入れる。A具材を投入し、白醤油、塩、酢で味を整える。くたっとなったところでつみれと豆腐を。B味を見ながらフカヒレを投入。全体の味がしみ込み口福。〆には葛きりを入れる。
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フカヒレ水晶鍋 → フカヒレ水晶鍋

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「小籠包鍋」

横浜といえば中華街。中華街といえば小籠包。横浜が誇る名物を主役に、すべて横浜産の材料で作る新“郷土鍋”。野菜も美味しくいただけます。 椿 直樹さん

小籠包鍋   小籠包鍋 材料●「横濱焼小籠包」は、椿商店で購入できます。
www.tsubakisyouten.com/
材料(4人前)
横濱焼小籠包10個、ハクサイ1/8個(ざく切り)、ダイコン1/16本(厚さ5mm程度の扇型に)、ニンジン1/2本(厚さ5mm程度の半月切り)、小松菜1/2束(大きめのざく切り)、横浜醤油(こいくちしょうゆ[本醸造])大さじ2、岩井の胡麻油大さじ1、横浜胡麻辣油小さじ1、水適量、サラダ油適量
小籠包鍋   作り方
@ ホットプレートを200度で加熱し、油を入れて焼小籠包を散らすように置き、さらにすべての野菜と少量の水を加えてフタをする。A野菜に均等に火が入るよう時々かき混ぜながら、15分〜20分フタをして待つ(水分が足りなければ水を加えよう)。B野菜がしんなりしたら調味料を加え、お皿に盛り付ける。
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小籠包鍋 → 小籠包鍋

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「サーモン、
イクラみぞれ鍋」

ダイコン、カブ、リンゴをおろして、3種の味わいがスープのベースとなったミステリー色の強い鍋。サーモンとイクラ、ふじっ子の組み合わせが食欲をそそる。 木村克己さん

サーモン、イクラみぞれ鍋   サーモン、イクラみぞれ鍋 材料
材料(3〜4人前)
ダイコン1/2本、リンゴ(フジ)、カブ、北海道白鱒甘塩いくら58g、北海道日高みついし昆布、有機純リンゴ酢、ふじっ子塩こんぶ、能登天然塩、北海道はるさめ(冷凍製法)、トラウトサーモン(生、解凍可)、木綿豆腐
サーモン、イクラみぞれ鍋   作り方
@ 昆布出汁をとり、カブをすりおろす。続いてダイコン、リンゴをすりおろす。トラウトサーモンをカットし、骨を抜いておく。Aすりおろした、カブ、ダイコン、リンゴを入れ、ゆっくりとかき混ぜトラウトサーモンを投入。B豆腐、塩昆布、いくらを入れ、リンゴ酢、塩で味を整える。〆は、はるさめで満腹。
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サーモン、イクラみぞれ鍋 → サーモン、イクラみぞれ鍋
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