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Media Spice!
松木直也のマイイートロード
 *** No.25


イタリアの個性豊かな地方料理を日本に紹介し、根付かせてきた草分け的存在の室井克義シェフ。
今回は釣りが大好きな室井シェフが、自ら相模湖で釣り上げた魚を使って料理を披露してくださいました。
室井シェフ流、おしゃれでヘルシーな、ホリデー・イタリアンをご紹介します。


 取材撮影のひと月ほど前、打ち合わせで銀座にある室井さんのお店「リストランテ エム・ディ・ピュー」をお訪ねした。
 まずは、「室井さんに釣りをしていただいて、その釣った魚でお料理を作っていただきたいのですが、……」と切り出す。すると、0・5秒後には「この時期は、わかさぎですね。わかさぎの身をすりつぶして、それを団子にして、温かいスープ、これが旨いんだよね」との返事がかえってきた。
 わかさぎは淡水魚にしては骨が柔らかく、味は鮎に似て淡白。てんぷら、フリットの他、塩焼き(筏焼き)、つくだ煮、南蛮漬け、マリネなどなど思い浮かぶが、わかさぎのすり身のあったかスープ、それもイタリア料理と聞いて、まずはみなさんどんな味を想像しますか?
 以前にも室井さんは、中禅寺湖では船を出し姫鱒を釣り上げ、北海道の八雲町では内浦湾で小さな漁船なみの船を出し、鮭を釣りあげた。そしてその後、釣ったばかりの魚を料理し、同行の面々は白ワインを飲みながら、料理をいただく。こんなおいしいことないな、と私は思ったものだった。さらに、室井さんは相当凝り性の釣り人である。釣り竿を作ったり、ナイフの柄をデザインしたり、道具にも自分らしさがよく現れている。

 さて、そんな室井さんは、お店での打ち合わせを終える頃「来週、網走に仲間たちとわかさぎ釣りに行ってきますから」と言い残し厨房へ消えた。
  さぁ、相模湖での本番。仕事を終えてから深夜に相模湖に到着した室井さんに、「網走のわかさぎ釣りどうでした?」と伺うと「1000尾は無理だったけど、でも網走のわかさぎたちはフェロモンが強くて、これがいい味でね」とのこと。
 翌朝6時半起床、宿泊先のログハウスの御主人山崎睦文さんが既に船の用意をしてくれており、室井さんと作戦会議をする。早朝の相模湖、船から見上げる山々の風景に感激。釣り人たちがあちらこちらで、爽やかな思いをしながら、楽しんでいる。しかし釣りというものはあっという間に時間が過ぎていくものなのですね。小さいのがかかれば、大きいのを目指し、大きいのがかかれば、もっと大きいのがいいなと欲が出ます。

  結局、わかさぎはお昼までに150尾ほど釣れた。ログハウスに戻り、ちょっと休憩したのち、室井さんはさっそく料理に取りかかる。
 フリットを手早く作ってくださり、まずは試食。揚げたてを熱々のままいく。あっさりとして塩が効いて、冷えた白ワインに合う条件がすべて揃っている。ビールでもいい、日本酒の辛口でも。あわてて食べるほどにおいしいような気がした。室井さんは前日から仕込みをして来てくれており、手早くすり身のスープに取りかかる。
「室井さん、こういう料理って釣り好きの、魚好きの人しか考えつかないですよね」
「そうかな。でもすごく合うんだよね」
クリーミーなスープとパスタと本当によく合う。見るからに御馳走だなと思えるようなスープは決まっておいしいのだ。余談ながら室井さんのお店のスタッフにあとからお聞きしたところ、撮影前日、室井さんはお店でそわそわしていたそうです。
 真正な釣り人は真正な料理人である。

室井克義さん(むろいかつよし)プロフィール

1951年東京生まれ。77年に遊学を兼ねて渡伊。ローマ「ホテル・クラリッジ」で修業後、主に北イタリアを中心に修業する。85年に帰国。青山のリストランテ「ビザビ」シェフを経て87年ホテル西洋銀座開業と共に入社。イタリア料理「アトーレ」の料理長に就任する。96年イタリアで毎年開催されるお米を使った料理の世界大会で、日本人初のグランプリを受賞。03年銀座に「エム・ディ・ピュー」をオープンする。現在日本イタリア料理協会会長。著書に「イタリアン・アウトドア・クッキング」(柴田書店)ほか。

 

クリーミーなチーズとワンタンの皮の食感がアクセント。
飛び魚のような愛らしい仕上がりも魅力です。

材 料(4人分)
ワカサギ12匹、ワンタンの皮6枚(半分にカットして12枚にする)、リコッタチーズ60g(またはクリームチーズ)、バジリコの葉3枚、サラダ油・小麦粉適宜、スプラウト・オリーブの実適宜

1 ワカサギは一度水洗いしてから水気を取り、小麦粉を薄くつけて余分な粉を落としてから唐揚げにする。
2 ワンタンの皮の中央にリコッタチーズとバジリコを置き、その上にワカサギをのせてから二つ折りにする。
3 揚げ油の温度を160度くらいに設定し、ワンタンがパリッとなるよう揚げる。
4 スプラウト、オリーブの実と共に盛りつける。

 

クネルとは、魚の身をすりつぶして作るイタリア版ツミレのこと。

材 料(4人分)
Aワカサギ 300g、卵白1/2個分、粉チーズ大さじ2、生姜汁小さじ1/4、生クリーム30cc  
Bバター大さじ1、玉ねぎ30g、人参30g、セロリ30g、じゃがいも80g、黄人参20g、いんげん20g、ムキアサリ30g、カニの身30g、生クリーム50cc、牛乳250cc、小麦粉小さじ1、白ワイン30cc、塩・胡椒少々
C小さなパスタ40gをゆでて冷ましたもの

1 ワカサギの頭とはらわたを取り除き、一度水洗いをしてからAの材料をフードカッター等に入れてすり身を作り、16個の小さなボールにまるめておく。
2 野菜はすべて5ミリ角にカットする。片手鍋にバターを入れ、玉ねぎをしんなりするまでソテーする。
3 セロリ、人参、いんげんを加えてさらにソテーする。
4 さらにムキアサリとカニ身をほぐし入れ、白ワインを加える。
5 牛乳を足して野菜が柔らかくなり始めたらじゃがいもを加え、柔らかくなるまで中火で煮る。
6 塩、胡椒で味を調え、小麦粉を入れ濃度をつけてから1で準備をしておいたワカサギのクネルを入れ火を通す。ワカサギのクネルが浮いてきたら小さなパスタを入れて出来上がり。

 

フリットの食感と、野菜のみずみずしさがベストマッチ。
冷えた白ワインとご一緒にどうぞ。

材 料(4人分)
ワカサギ、たらの芽、完熟トマト、モッツァレラチーズ、クレソン、バルサミコ酢、オリーブオイル、小麦粉、サラダ油各適量

1 バルサミコ酢にオリーブオイルを混ぜドレッシングを作っておく。
2 ワカサギとたらの芽に薄く小麦粉をまぶし、唐揚げにする。
3 お皿に完熟トマトと一口サイズのモッツァレラチーズを並べる。
4 ボールにクレソン他お好みの葉野菜を入れ、ワカサギとたらの芽を加えてバルサミコドレッシングで和え、皿に盛りつける。

 


リストランテ エム・ディ・ピュー

店名の「エム・ディ・ピュー」とは、イタリア語で「もっと、さらに」という意味。“大人たちが安心してくつろげるリストランテ”というコンセプト通り、店には日々本物を求める粋な大人達が集っています。北イタリア料理のスペシャリストとして有名な室井シェフの料理を堪能したい方は、ぜひコース料理を。ランチコースは前菜とパスタのワンプレートとパン、コーヒー付きで1,700円。ディナーコースは6,500円から。

東京都中央区銀座1-4-9 第1田村ビルB1 TEL.03-3561-3317
<定休日>月曜・第2日曜 
<営業時間>11:30〜14:30(14:00LO)、18:00〜22:30(21:30LO) 
http://www.m-di-piu.com/


貸別荘・釣り船・ボート 日相園

相模湖畔に面して作られたフィンランド産のログハウスは全4棟。4人から20人まで利用できる3タイプがある。ほかに2人向けバンガローやデラックスコテージの他、デイキャンプ用のバーベキューコーナーも完備。また、エアコン、バス、トイレのほか、電子レンジ、炊飯ジャー、食器などキッチン用品も備えられているので、本格的な調理も手軽に楽しめる。

ログハウス4人用16,800円〜、釣り船レンタル3,000円〜

 

津久井郡藤野町日蓮754 TEL.0426-87-2206
http://www.nissouen.com/

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