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クリエイターのインテリア
クリエイターのインテリア

上から左から
●広いワンルームになった部屋の一部がリビング。小さな赤い肘掛け椅子は好きな黒ベースのインテリアのアクセント。カンカン帽もコレクションの1つ。●昔のメダルやアクセサリー、モノクロ写真を棚に飾っている。●自分で構成するバンドの写真を 「飛び出す絵本」風にアレンジしたカード。●ご本人いわく 「ゴチック風」の寝室は友人を驚かせるのにいいとか。●医学生が学んだ人体模型もインテリア。●スウェーデンの木製アンティーク・テーブルの上にイタリアから来た頭像を飾っている。

 パリの6区、セーヌ川に近い場所に、ギャラリーやカフェの多い、古き良きパリが残る界隈がある。ジャン・ダンディノさんは、そこに昔からある、にぎやかな通りをひとつ入った建物の中庭を囲む地階に仕事場2つと自宅を持っている。彼のメインの仕事場は音楽スタジオ。音楽プロデューサーとして、TVやラジオ広告用のテーマ音楽を製作したり、自身のレーベル「l'inlassable disQue(直訳=疲れを知らないディスク)」を持ち、自らもアーティストとして活躍する一方、新世代のミュージシャンを育てている。朝起きて、夜眠るまで仕事と私生活の区別をほとんどしない、いわば‘仕事の虫’的中年男性である。ジャンは古いLPレコードやCDにぐるりと囲まれたスタジオを案内しながら、「僕にとってこれは絵の具のパレット。このディスクから音を取り出し、ミックスし、テーマ・イメージに合ったものをつくり出すんだ」と真顔で即興デモンストレーションを始める。

 この音楽スタジオと事務オフィスに続き、3番めの彼の場所となるのが自宅アパルトマンである。3年前、仕事場の前で偶然売り出しになった小さなアパルトマンを購入。建築家の妹のアイディアを得ながら大胆な改造を実施。地上階はキッチン、ダイニング、リビングとなるワンルームにし、地下のカーブは元からあったアーチ型天井を残して友人用の寝室に変身させた。古いアパルトマンの骨格を生かしながらも、現代的なアイディアを盛り込んだ素敵な住空間が完成。最近、ジャンはここに住むことになった。

 ジャンならではのユニークな発想はインテリア・デコへのこだわりにも感じられる。どことなく味のある家具やオブジェの数々。アーティストのCDジャケットにもアレンジさせてもらっているという、持ち主を失くしたモノクロ写真。かつて軍服に飾られていたアクセサリーやメダル。パリ北部にある有名なクリニャンクールののみの市が好きで、毎週末に出かけては見つけたものがここに揃う。とくに好きなのが1870年から1930年の第一次世界大戦をはさんだフランス、ヨーロッパのもの。「あの時代は芸術にあふれ、ヨーロッパが一番華やいでいた時代だから」とジャンは言う。

 自分で着る洋服にもその時代のものを集めている。取材でお会いしたその日に来ていたズボンもそう。かけていた小さなコケティッシュな眼鏡もその時代、じっさい誰かが本当に使っていたものだ。状態はもちろんのこと、ズボンのサイズも眼鏡の度数も偶然そんなにぴったりのものがあるなんて。「僕はオブジェの方が僕を待っていると思っているから」。のみの市散策を愛してやまない人に共通する普遍的理由がその言葉に見えた気がする。

ジャン・ダンディノさん ジャン・ダンディノさん/
Jean Dindinaud
www.chezjean.fr

TEXT:中平美紀 PHOTOS:Jacques Pepion
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