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クリエイターのインテリア
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上から
●ミラーにかけた網はイタリアの漁師が使っている本物。●リビングの隅にある食卓テーブル。大きな鏡は空間を奥行き深く見せてくれる。●小さな角部屋がアナベルのアトリエ。古びたクラブ・ソファは白でペイントしている。●幼児の頭の大きさほどある玉は1つずつ丁寧に焼く。ネックレス完成まで製作時間は2ヶ月ほど。

 パリ北部はサクレクール寺院を頂きとして丘を形づくっている。したがって、その丘の西側、18区に住む人々にとっては、きつい坂道の往来も日常生活のひとつ。アナベルが住む建物も勾配がはっきりと見てとれる坂道の途中にある。彼女のアパルトマンは2階だが、なるほど、そのバルコニーから眺める坂道の景色はパリに住む優越感さえ与えてくれる。

 そんな永遠のパリの風景をバックにしたアナベルのアパルトマンはまるでテアトルの舞台といった雰囲気。3.5mも天井高がある優雅な空間は、イタリア・ルネッサンス時代のフレスコ画を見ているようだ。かすれたペイントの壁は、前の住人が貼っていた“センスの悪い”壁紙をはがして偶然に発見した。「このアパートのお披露目パーティをした夜に、招いた友人全員でアパート中の壁紙をはがしたの」と言うアナベル。ブルジョワ的な天井飾りには、フィレンツェで購入した自然素材のピグモン(染料の粉)で彩色を施した。リビングはパステルのピンクやモスグリーンで整えられたインテリア。個性きわだつ白いセラミック製オブジェは彼女の作品である。

 アナベルは空間デザイナー兼オブジェ作家として活躍している。なかでも彼女が製作にこだわり続けてきたのが、セラミック製のオブジェ。普段パリにいる時は、リビングの隣にある小さな角部屋をアトリエとして作業をしている。数年前には、旦那さまの実家がある、アドリア海に面したイタリアの田舎町に窯のあるアトリエを構え、年に2回はそこで大掛かりな製作に励んでいる。今、彼女が熱中しているのが、アクセサリーをモチーフにした白く巨大で、かつ繊細な手ざわりの飾り物。「ペタル(仏語で“花びら”の意味)」と呼ぶ、ホワイトの釉薬をかけた部品をていねいに、いくつも焼き、それを最後に組み合わせて作品が完成する。もちろん、選んだモチーフには彼女からのメッセージも込められている。ユニークでオリジナルな、壁に飾った首飾りに込められた意味は“祈り”。魔術的なニュアンスを持たせているのだそうだ。

 このアパルトマンにはアナベルと夫、そして12才の長女、8歳になる長男の4人で暮らしている。アナベルは英仏のハーフで、今はイタリア人の夫とパリで暮らしているが、彼女にとって今一番のエネルギー源はイタリアの田舎町で創作活動をしながら家族で過ごす時間。なによりそこで感じる太陽や海といった自然をベースにした色が彼女のインスピレーションの源らしい。

 「フランスは豊かでしあわせな国なのに、パリの人たちは不満ばかり言う。そんなモラルに反抗して、私の国、“ユニオン・ジャック”の旗を飾ってみたのよ」と笑うアナベル。国際色豊かなパリの暮らしのひとつである。

 
アナベル・アディさん アナベル・アディさん/
Annabelle Adie
<アーティスト>
www.annabelleadie.com

TEXT:中平美紀 PHOTOS:Jacques Pepion
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