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***No.40

パティシエール・近藤冬子 さんの 「秋・お菓子の楽しみ方、いろいろ魔法」
 お菓子には、人を幸せにする不思議なチカラがある。可愛らしくて美しい見た目、バターや卵のいい匂い、そして、「どこから食べようかしら?」なんて迷う楽しさ…。食べる前からすでに、幸福の予感に満ちあふれているのだ。さてさて、今回はパティシエールの近藤冬子さんをゲストに、秋のお菓子を楽しむいろんな秘訣を教えていただきました。
 
ここ数年、日本のお菓子事情はスゴイことになっている。デパートに行けば美味しそうな表情のお菓子たちがショーケースの中でキレイに並んでるし、また、インターネットではスイーツ評論家やデパ地下レポーターなんて方々もおられ、お菓子への熱い思いを日々語り合っている。さらに、「パティシエ=お菓子職人」なんて今や常識。近年では、将来なりたい職業の上位にランキングされている。

 とにかく、日本のお菓子のレベルは年々上がっていて、我々の甘いものへの欲望も高まるばかりな訳ですが、では、お菓子をもっと美味しく楽しむにはどうしたらいいのだろう? パティシエールの近藤
冬子さんにお伺いした。
Photographs by Yukihito Hosono
 「世界の国々に比べ、日本は四季がはっきりしているので、季節ごとにさまざまなお菓子が楽しめます。特に秋は果物が美味しい季節なので、栗やイチジク、葡萄など、旬の果物を使ったお菓子がおすすめです」

  近藤さんはカリフォルニア州の大学を卒業後、お菓子の道を志し単身渡欧。ご存じ「ゴディバ」や「ワッフル」を生んだ”お菓子の国“ベルギーや、フランス・パリの一流店で7年間腕を磨いた。日本へ帰国後も、東京・代官山のフランス料理店「レストラン・パッション」のシェフ・パティシエを8年間務め、さらに、「料理の鉄人」など数々の料理番組で腕を振るった経験もある、スゴ腕のお菓子職人なのだ。現在は、自分が世界で培ってきた知識や経験、そしてお菓子作りの楽しさを伝えたいとの思いから、東京・渋谷の自宅を改装して洋菓子教室・注文菓子専門店「ラ・シュエット」を開いている。

  今回、そんな近藤さんに家庭でも作れる秋のお菓子の代表格「アップルパイ」の美味しい作り方を教えていただいた。

「アップルパイぐらいなら!」と簡単に考えていた私だっだが、いざ教えていただくとこれがなかなか大変。というのも、生地を練っては半日寝かせ、叩いて伸ばしてはまた寝かせ…、と、アップルパイはとにかくよく眠る。美味しいアップルパイは1日にして成らず、なのである。

「生地はしっかり寝かせることでより美味しくなります。焼き上がりも全然違いますよ」と近藤さん。

  その他にも、リンゴの炒め方やパイ生地の仕上げ方など、随所に美味しさの秘訣が。シンプルなお菓子ほど、いろんな工夫や努力があるのだ。

  さて、気になるお味はというと、じっくり寝かせた生地は表面サクサクで、なかしっとり。全体的に甘さも控えめで美味しかった。なにより、優しい味わいが印象的だ。きっと、近藤さんの人柄や情熱がお菓子の味に反映されているのだろう。これでは青森生まれの紅玉も、さぞや満足だろう。

「たとえ全く同じレシピで作っても、作る人が違えば絶対に同じ味にはなりません。それが手作りの魅力です。何度も作りながら少しずつ配合を変えたりして、自分の味やご家庭の味を完成させるといいでしょう」

  日本ではお菓子を習いに教室や学校へ通うことが多いが、フランスでは母から娘へと、家庭の味を受け継いでいく習慣が今でも根強く残っている。近藤さん自身も、祖母や母のお菓子を作っている姿や、台所で味わった甘い匂いなど、幼い頃の幸せな思い出が鮮明に記憶に残っていて、それがお菓子作りの最大のエネルギーになっているという。確かに手作りのお菓子には、買ってきたお菓子とはまた違った幸福感がある。どうです、この秋みなさんも手作りに挑戦してはいかがですか。

  最後に、「同じアップルパイでも、焼きたてがいちばん美味しいという人もいれば、一晩寝かせた後のパイの湿った感じが好きだという人もいて、好みの味は人それぞれ。有名だからとか、周りの人が美味しいと言ってるから、という理由でお菓子を選ぶのではなく、自分の味覚を信じて、本当に美味しいと思うものを探すことが大切です」と、近藤さんは語ってくれた。

  お菓子にはいろんな楽しみ方がある。でも、決してルールなんてないのだ。有名店のお菓子をひたすら食べ歩くもよし。手作りで自分の味を追求するもよし。さあ、秋らしく、そして自分らしく、お菓子を楽しんでやりましょうぞ!
PROFILE
近藤冬子さん プロフィール
パサデナ市立大学卒業後、お菓子作りの勉強のため渡欧。ベルギー国立食品専門学校卒業後、ブリュッセルの老舗菓子店「ヴィタメール」やフランス・パリの名門「ルノートル」などで修業。帰国後も、東京・代官山の「レストラン・パッション」でシェフ・パティシエとして8年間腕を振るった。1995年からは洋菓子教室・注文菓子専門店「ラ・シュエット」を開業し、お菓子を作る楽しさ、食べる喜びを多くの人に広めている。
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