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松木直也のマイイートロード
 *** No.14

ここ数年ブームとなっているもののひとつに、隠れ家レストランと呼ばれる店がある。
今回は、東京・代官山駅より徒歩5分という場所ながら、“隠れ家的”和食ダイニングバーとして話題となっている『棗』のオーナー五嶋佳代さんを訪ねた。
マンションの2階にあり、特に目立つ看板も出していない『棗』。
さて、人気の秘密とは?

 

 東京・恵比寿西にあるレストラン『棗』(なつめ)は、3年前の開業以来毎月のように、女性誌や料理の専門誌に取り上げられている。その内容を抜粋すると『ファッション界御用達の美味しい店』『料理と器のおいしい関係』『マイ・シークレット・レストラン』などだが、この人気の要因のひとつには、オーナー五嶋佳代さんの存在がある。
 五嶋さんはかつて、アパレル業界で婦人服の企画や広報を担当し、また、フリーでキャスティングの仕事をしていたこともある。食の世界に入るきっかけは、知人のレストランを手伝うことから始まった。ファッション関係から飲食ビジネスに転身する人は割と少なくない。洋服から始まりインテリアや食器、料理などへの興味や好奇心が広がっていくのは自然の流れでもある。五嶋さんはやがて、自分の店を持つことを考える。自分のテイストをひとつの箱にまとめてみたいと思ったのである。「言っているだけじゃダメ。やらなくちゃ」という友人の一言に決心し、開業に至った。
 

五嶋佳代(ごとうかよ)さんプロフィール

服飾系専門学校のデザイン学科卒業後、アパレル会社で婦人服の企画や広報に携わる。その後、ファッションイベント中心の制作会社に転職し、3年で独立。フリーでモデルキャスティングとプランニングをこなす。'99年、グラフィックデザイナーの夫と共に(有)ウータオ設立。2000年1月に『棗』を、翌年5月には渋谷のんべい横丁に『莢』をオープン。今年は、この3月と5月都内にオープンするレストラン2軒のプロデュースも手掛けるなど、食のプロとして躍進的に活動中。

 スタッフは自然と集まったという。内装は知り合いのインテリアデザイナーが図面を、元大工だった弟さんが棟梁となってスタッフだけで作り上げた。「今でも年に1〜2回、皆でお店のメンテナンスをやっていますし、料理もスタッフ全員で考えています。私の店と言うより、チーム棗ですね」と、五嶋さんは言う。
 店は白い壁とブラウンに統一され、アジアンな心地よさに包まれている。背伸びしていない何気なさの中にある、若いスタッフのひたむきさと、五嶋さんの明るさがこの店のもうひとつの魅力だ。
「肩の力を抜いて、無理しないことが大事だと思っています。知ったかぶりをしないで、等身大でやっています」という五嶋さんの爽やかな表情には、やはり人を引きつけてしまう何かがある。
 店の至る所には、決して派手ではないアジアのぬくもりが伝わる演出がなされている。例えばベトナム製の赤絵の器などは、柄がずれていたりするが、それが味わいとなってアイデア豊かな料理を引き立て、おいしさだけでなく、やさしさまでを感じさせてくれる。
「お店を始めて、知らなかったことを知っていくうちに、どんどんシンプルになっていったのかな」と、五嶋さんは言う。しかしそれは、いつも等身大でスタッフやお客と向き合ってきた彼女ならではの“今”を表現しているのだと思う。
 シンプルとは、いつも自分自身のテイストがきっちりと整理されていることを差すのではないのだろうか。彼女に会い、改めてそう感じた。

 

 棗 natsume

下町の気さくで温かな雰囲気が好きで、気取りすぎたり押しつけがましい事は嫌いとう、オーナーの五嶋佳代さん。等身大の自分が行きたいお店を実現したという『棗natsume』には、そんな五嶋さんの程良く肩の力が抜けた普段着感覚の心地よさがある。料理は、ふんわりした食感の「自家製さつま揚げ」や、ベトナム風汁そば「フォー」、圧力鍋で丹念に下ごしらえした柔らかい「牛すじとネギの黒胡椒炒め」など、『棗』特有のひとひねりが加えられ、印象に残るものばかり。日本酒や焼酎もオリジナリティーあるセレクトだ。

東京都渋谷区恵比寿西2-17-16代官山 TKビル2F 
TEL.03-5428-0210
OPEN:ランチ12:00〜14:00、18:00〜22:30(LO)
土日祝日17:00〜21:30(LO)

厨房以外はすべて、五嶋さんとスタッフで手作りしたという店内には、あちこちにさりげないこだわりが見られる。「資金がなかったので、実はすべて苦肉の作なんです。でも、これをこだわりに見せるのがポイントですね」と、五嶋さん。『棗』流・お手本にしたいアイデアご紹介!
 

セブ島のお土産やさんで見つけた貝殻のランプに似せて、現地で作ってもらったもの。天井は、スタッフ皆で1枚ずつ和紙を貼った。

元大工さんの経歴を持つ、弟でありスタッフの吉田哲朗さん手作りテーブル。天板は、東急ハンズで購入。
カウンターには、無造作に重ねられた器や箸が並ぶ。ほとんどはバリを訪ねた時や出張する友人に頼んで買ってきてもらったもの。 インドネシア製の布“バティック”に紐テープをつけただけのシンプルなエプロンは、洗うほどに柔らかい風合い。スタッフはその日の気分で好きなものを選ぶ。
バリ製のビーズのコースターは、五嶋さんが現地でビーズを調達し、イメージスケッチを描いて特注したもの。でも、完成品はスケッチとは全く違う柄だったのだとか。そんなバリのラフさ加減が五嶋さんのお気に入りでもある。 エプロンの端布で作ったスタッフ手作りメニュー。
 
 
棗スタッフは、温かくてアットホーム。
(右から)弟であり、現在は渋谷のんべい横町の『莢』でシェフも務める吉田哲朗さん。オープンからキッチンを任される大和田信一郎さん。吉村正恵さん、滑川晶子さん、石川みゆきさん。他にはオープン当初から勤める岡本裕子さん、奥田リカさん。女性常連客がスタッフ志願することもしばしば。
 

五香油やくみ豆腐

中国のスパイスをブレンドした“棗流フレーバーオイル”。ちょっとエキゾチックな香りが、いつもの料理に奥行きを添えてくれます。炒め物やラーメンなどにも美味。

<事前に五香油を作っておく>
鍋にサラダオイル360cc、シナモンスティック1本、丁子10個、山椒の実30粒、陳皮3枚、八角5個を入れて弱火にかけ、60℃位の状態で30分間ほど熱したらそのまま冷まし、ビンなどで保管する。

<作り方> 2人分
1
皿に木綿豆腐半丁(2時間位水切りする)をのせ、白キクラゲ、ミョウガの千切り、揚げジャコ、松の実、白髪ネギ、糸唐辛子、パクチー等お好みで盛付け、上から塩をひとつまみと白醤油大さじ1をふる。
2
五香油大さじ3を火にかけ、煙が出るくらいまで熱したら豆腐の上からじゅっとかけて完成。

湯葉チーズディップ

クリーミーなディップに生湯葉の舌触りとわさびがアクセントの、簡単でおしゃれなヘルシーディップ。好みの薬味をたっぷり添えて、お酒のおつまみやパーティにぜひ。

<作り方> 3〜4人分
1
クリームチーズ250gは室温に戻して柔らかくする。
2
ボールに1と生湯葉200gを入れゴムベラで混ぜ合わせる。
3
生クリーム100ccは角が立つ位までホイップする。
4
2に3を入れて塩約10gを加え、全体を混ぜ合わせる。赤パプリカ、ミョウガ、わさびなどお好みの薬味とクラッカーを添えて出来上がり。

黒ごま汁粉

見た目はいかすみのように真っ黒な驚きデザート。練り黒ごまに黒糖を加えることで、コクのあるの濃厚な味わいとごまの風味を思う存分楽しめます。夏は冷やしてどうぞ。

<作り方> 5人分
1
鍋に黒練りごま150gを入れて弱火で温め、混ぜながら牛乳350cc、黒糖1.5〜2カケを入れる。
2
黒糖が溶けたらエバミルクと生クリーム(各大さじ1)を入れて火を止め、そのまま冷ます。
3
鍋に茹で小豆300gと水100cc、市販の甘納豆(適量)を入れて焦げ付かないように弱火で2〜3分温める。
4
器に1を漉しながら入れ、お湯で柔らかくした餅(5mm位にスライス)、3を盛り付け最後に練乳(適量)をかけて出来上がり。

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